平林 岳
平林 岳
Takeshi Hirabayashi
2008年シーズン(アメリカマイナーリーグ 2Aサザン・リーグ)報告 (08.09.24)
平林 岳 2008年シーズン報告 ●初めての3人制審判でのシーズン
皆様、こんにちは!ご無沙汰しております、アメリカでメジャーリーグ審判を目指している平林です。9月3日に、今シーズンの公式戦140試合を全て終えて、無事に帰国しました。マイナーリーグの中で、2番目にメジャーに近い位置にある2Aというクラスで、初めてのシーズンを、けがや病気もなく、楽しく過ごすことができました。来シーズンのことは、まだどうなるかわかりませんが、メジャーを目指す上で大切なこのシーズン中に、たくさんの良い経験をさせてもらいました。

昨年まで所属していた1Aクラスまでは、審判は2人だけで試合を行います。2Aからようやく3人で審判ができるようになります。そして、メジャーリーグでようやく4人で審判をすることができるようになるのです。3人制審判で過ごす初めてのシーズンだったのです。

2人で審判をするためには、次に起こるプレーを予測し、プレーが起こる前に判定するための位置取りをする必要があります。3人になると、より正確な判定をするための、よりよいポジショニングの必要性を痛感しました。3人になり1人審判が増えた分、より精度の高い判定を求められるようになりました。シーズンを通して、このポジショニングに関してかなり会得できたという感覚があり、それが自信になりました。

●蒸し暑い気候と最大900キロに及ぶ移動距離
所属していたサザン・リーグは、名前の通り“南部”というだけあり、夏場のシーズンは、とても蒸し暑いところでした。特に湿度がとても高く、湿度が100%なんてこともあり、気温よりもかなり不快に感じます。試合中は、“暑い”というよりは、“汗が止まらない”というところがとても不快でした。僕は、何とか大丈夫でしたが、もっと汗をかく審判は、ボールを入れておく袋も濡れてくるので、防水加工をしたり、試合の途中で取り換えたりもしていました。そのぐらい汗が出る場所で、1シーズンを過ごしました。

また、フロリダ州、ノースキャロライナ州、アラバマ州、テネシー州、ミシシッピー州の5州にチームがあり、移動距離もとても長いのです。3人で審判をするようになり、車で移動するための運転手も1人増えたので、まだよいのですが、移動日の休みがなく、最大900キロ(約東京から広島間)ほど移動したこともありました。ナイターの試合後に移動して、翌朝8時ごろ到着して、その夜に試合という日も数日ありました。リーグ内に時差があるので、朝8時に到着しても、すでに9時になっていたり、7時に戻っていたりすることもありました。アメリカで審判をやっていく以上、どのレベルにいっても避けられない事なのです。

●9人を退場に! ますます痛感する高度な英語力の必要性
そして、2Aクラスでは、通常のストライク・ボールやアウト・セーフの判定技術以上に“状況判断”能力を必要とされることがよくわかりました。同時に監督やゼネラルマネージャーとの交渉能力も必要とされます。そうなると、当然“高度な英語力”が不可欠となります。状況判断では、自分が球審を担当した試合で、両軍総出の大乱闘があり、合計で9人の退場者を出した試合がありました。警告を入れるタイミングや退場宣告のタイミングなど、審判の状況判断能力を問われる場面でした。アメリカでの野球観なども理解していないと判断できないので、日本の野球で育った自分にとっては、とても難しいケースなのです。このときの自分の判断が、正しかったと我々を査定するスーパーバイザーから言われたので、とても良い経験をしたのと同時に自信になりました。

この先、3Aやメジャーリーグで審判をするためには、このような状況判断能力や英語のコミュニケーション能力が必要であり、僕にとっては、弱点である部分なので、このオフには、特に力を入れて、弱点克服をしていくつもりです。来シーズン、どのレベルで審判をできるかは、まだわかりませんが、3Aに昇格して困ることのないように、完璧な準備をして、新しいシーズンに臨みたいと思います。

これからもご声援、宜しくお願いいたします。